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ウクライナから日本へ。豊田肥料で働きながらラグビーに挑戦するナタリヤ・コザチュクさん

ウクライナ出身のナタリヤ・コザチュクさんは、現在「豊田肥料株式会社」で働きながら、女子ラグビーチーム「アザレア・セブン」で活躍しています。日本に来て3年、豊田肥料に入社して9か月。母国とは全く異なる環境のなかで、仕事とスポーツを両立する彼女に、その歩みや思いを伺いました。

スポーツを始めたきっかけ――父の背中と新しい出会い

「10歳の頃からアイスホッケーを始めました。お父さんがゴールキーパーとしてプレーしていて、その試合を見て『私もやりたい!』と思ったのがきっかけです。」

幼い頃からアクティブで、体を動かすことが大好きだったナタリヤさん。男の子が多い競技だったため、家族から「本当にやりたいの?」と聞かれることもありましたが、その気持ちは揺らぎませんでした。冬はアイスホッケーに打ち込み、毎試合の迫力に胸を躍らせる日々を過ごしていたといいます。

そして夏。アイスホッケーがオフシーズンになると、「何か別のスポーツがしたい」という思いが強くなりました。そんなときに友人を通じて出会ったのがラグビーです。男子チームの選手と話す中で初めてルールを知り、「見たことがないけど、面白そう!」と直感で惹かれたそうです。夏に「そういえばラグビーがあった」と思い出し、女子チームがあるか尋ねたところ、地元にチームがあり体験することに。

「最初からみんなフレンドリーで、すぐに仲良くなれました。迫力あるコンタクトや仲間と一緒に戦う感覚がとても楽しくて、すぐに夢中になりました。」

こうして冬はアイスホッケー、夏はラグビーと、一年を通じてスポーツを続ける生活が始まりました。

コーチとしての経験、そして戦争による転機

ラグビーを始めたのは17歳。その後大学ではスポーツについて学び、卒業後は子ども向けのラグビーコーチとして働きました。6歳から12歳くらいの子どもたちにプレーを教え、「ラグビーを通して子どもが成長していく姿を見るのはとても楽しかった」と当時を振り返ります。

しかし、23歳のときに大きな転機が訪れます。母国で戦争が始まり、試合やスポーツ活動はすべて禁止に。「このままウクライナにいたらどうなるんだろう?」と将来を考える中で、日本チームへの紹介の話が舞い込みました。

「村上春樹の小説が好きだったこともあって、日本には興味がありました。でも母からは『遠いし、一人で行くのは危ないからやめてほしい』と反対されました。それでも“今挑戦しなければ後悔する”と思って、日本に行く決心をしました。」

不安よりもチャレンジへの思いが勝った瞬間でした。

ラグビーの魅力――「チームで戦うスポーツ」

「ラグビーは本当に面白いスポーツです。強さや速さだけでなく、状況を見て考える力も必要で、すべてが大事。何よりもチームスポーツで、一人ではなく仲間と一緒に戦えることが魅力です。」

日本では2019年のワールドカップをきっかけに人気が高まりましたが、それでもまだルールを難しいと感じる人が多いと言います。「試合中にルール解説があれば、もっと新しいファンが増えると思います」と笑いながら話してくれました。

仕事とラグビーの両立について

現在、豊田肥料では農薬倉庫での業務を担当しています。インターネット注文の商品の準備を中心に、入庫作業やお米の配達、トラックが到着した際の荷下ろしまで幅広く担当しています。

「日本で最初の仕事だったので、入社当初はとても緊張しました。日本語が通じるのか、漢字が読めるのか不安でいっぱいでした。でも上司や同僚のみんなが本当に優しく、ゆっくり丁寧に教えてくれました。だから安心して仕事を覚えることができたんです。」

仕事を通じて得られるものは大きいと感じています。「スポーツだけに集中するのではなく、仕事を通じて新しい人や価値観に触れられるのはとてもいい経験です。もちろん疲れることもありますが、それも含めて大事なことだと思っています。」

ラグビーの練習は毎日ではなく、土日に試合がなければ休み、月曜日はミーティングだけの日もあります。仕事と練習の両立は簡単ではありませんが、「頑張れています。チームで問題を解決するのは仕事もラグビーも同じです」と語ります。

息抜きと体調管理――本、音楽、そして食

「メンタルが疲れたときは、公園でコーヒーを飲みながら本を読みます。村上春樹は好きで、同じ作品を二度読むこともあります。他の作家の小説も好きですし、ギターを弾いたり音楽を楽しむこともあります。体が疲れたときは、とにかく寝るのが一番の回復方法ですね。」

また、食事も大切にしています。チームメイトと外食することもあり、定食屋さんや焼肉を楽しむそうです。「焼肉食べ放題では、女性3人で信じられないくらい食べるので、お店の人に驚かれます(笑)」と嬉しそうに話してくれました。

普段は自炊を心がけ、野菜を中心に栄養バランスを意識した食事を作ります。「自分の料理は上手とは言えないけど、自分で作ると安心できます。甘いものも好きで、ケーキや時々のビッグマックもご褒美です。でも太るとスタッフに注意されるので(笑)、いつも気をつけています。」(写真は2枚とも実際にナタリヤさんが作ったご飯です)

日本に来て感じたこと、そして未来へ

来日して3年。最初は言葉も分からず、買い物さえ難しく「子どもみたいに困っていた」と振り返ります。しかし今では日常会話も問題なくでき、スーパーでのやりとりもスムーズにこなせるようになりました。

「まだ知らないことはたくさんありますが、チームメイトやスタッフが教えてくれるので安心です。本当にラッキーガールだと思います。」

最後に、これから日本で働く人やスポーツに挑戦する人へのメッセージをお願いすると、こう答えてくれました。

「もっとチャレンジして、自信を持ってやってみてください。豊田肥料は大きな会社ではありませんが、みんなが家族のようにサポートしてくれます。心配しなくても大丈夫。新しい挑戦をすれば、きっといい経験になります。」

スポーツと仕事を両立し、常に前向きに挑戦を続けるナタリヤ・コザチュクさん。その姿は、これから新しい環境に飛び込もうとする人たちに勇気を与えてくれるはずです。

リクルートに関して詳しいお話を聞きたい場合は豊田肥料株式会社 総務部 0538-42-4111 またはmurakoshi@toyodahiryo.jp までご連絡下さい。豊田肥料は、あなたの活躍をお待ちしています。